真のグローバルマインドとは
私は海外生活が今年で10年目となり、アメリカでの生活も板について来ましたが、
現在の金融機関に勤めるようになってから本当の多くの人や文化に触れる機会が増えました。
いわゆる“グローバル企業”で働いているので、一日で最低でも8カ国にいる同僚と会話をします。これはアメリカに住んでいる○○人、ではなく実際その国に住んでいる人達です。多いときは一日に15カ国以上にいる同僚と仕事をします。
朝6時半に出勤しロンドンのチームから引き継いで取引開始、午前中はヨーロッパ諸国から電話を受け、その後カナダとアメリカへの対応が重点になり、時々チリ、コロンビア、コスタリカなどの南米との連携を取る。バックオフィスはリトアニアにあるので、彼らとは一日中やりとりを繰り返す。そして終業近くになるとニュージーランドからの電話が入るようになり、最後にシドニーのデスクに引き継いで終了。
私の所属するトレーディングデスクの流れはこんな感じですが、会社全体で200ヵ国・地域にある支店とのやり取りが行われています。
こういう環境で働いていると、グローバルな環境の中で成功している人、もがき苦しんでいる人、そして現状維持をするためだけに労力を使っている人、など、様々な働き方や人間像が見えてきて面白いです。この人間模様はグローバル企業に限ったことではなく、どの企業や組織でも観察できますが、今回は多くの人や文化が交わる環境に居るからこそ見えてくる、“世界で通用する人材になるためのグローバルマインドとはなにか”について独断と偏見でお話しします。
【寛容性】
寛容性とは、度量・器の大きさ・懐の深さ・柔軟性などを指しますが、これはグローバル社会で成功する上で一番大切な精神だと思います。文化や価値観の違いを受け止め、理解する努力をし、そして歩み寄っていく意思がある人は、結果がどうであれ成長することができます。
ここアメリカという移民の国の中でも、この寛容性が欠けている人はたくさん居ます。寛容な心を持つというのは、何でもかんでも受け入れなければいけないというのではなく、自分とは違う考えに対してオープンマインドを持つということです。それを受け入れるかどうかは別の話で、まずは話を聞いてみよう、相手はどういった視点から物事を捉えているのか理解しようとする姿勢がカギになってきます。
寛容の対義語は狭量です。一つの考えに囚われない、心の広い人が多様性の中で成功する人ではないでしょうか。
【軸がある人】
組織が大きければ大きいほど、多くの価値観や文化の中で埋もれてしまいがちですが、“軸がある人”はその名の通りブレないので多様性の中でもリーダーシップを発揮しやすいです。“軸”とは、自分自身の考えや価値観の中心にあるもので、ある意味“軸”=“自信”と言い換えてもいいかもしれません。上記にある寛容性と自信は相容れないのではないかと感じるかもしれませんが、自身と傲慢は全く別物。国際社会で活躍するためには、ある程度の自信がないと競争で勝ち残れません。私は元々自信のかけらもないタイプだったので、今の自分に行き着くまでは色々な苦労をしました。今でも劣等感に蝕まれるような日もありますが、“軸”は必要不可欠だと日々感じながら奮闘しています。
【ユーモア】
面白い人はモテますよね。国際社会でもユーモアセンスがある方が圧倒的に有利です。私は個人的に違う国の笑いを理解するのはその国の言語や文化を学ぶ過程で非常に大切な部分だと思っています。アメリカに留学してから数年経った時、現地のコメディ番組を観て心から面白くて涙まで出た時は、やっとこの国の笑いが分かるようになったなぁと妙に感動したのを覚えています。今でも日本のお笑いは好きですし、たまに観て笑い転げていますが、それと同時にアメリカの笑いも心底面白いと感じる自分が居ます。
外国語でジョークをかませるようになるのはなかなか簡単なことではないですが、特にビジネスシーンではほんの少しでもいいのでユーモアを含むと場が和み、仕事がしやすくなります。
笑いの世界は奥が深いです。これを機に、海外のコメディの鑑賞に本腰を入れてみるなんていうのはいかがでしょうか。世界進出の第一歩になるかもしれませんよ。