基礎から学ぶ移動平均線

1.移動平均線とは

移動平均線とは、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせたものです。次のチャートの線が移動平均線です。
移動平均線

それを見ることによって今の相場のトレンドを表したり、エントリーのシグナルになることもあります。

 

2.期間の設定

 

移動平均線には期間を設定します。計算期間は5日でも20日でも自由に設定することができます。一般的には以下のようにキリの良い期間を選択しています。

 

・5日移動平均線
・20日移動平均線
・25日移動平均線
・75日移動平均線
・200日移動平均線

5日移動平均線であれば直近の5日間の平均値を、25日移動平均線であれば直近の25日間の平均値を使って、移動平均線は作られていきます。

 

3.種類

移動平均線には、次の3つ種類があります。

• 単純移動平均・・・SMA
• 指数平滑移動平均・・・EMA
• 加重移動平均・・・WMA

それぞれ説明します。

単純移動平均線・・・SMA(Simple Moving Average)

単純移動平均線は、最もシンプルな移動平均線であり、文字通り、ある一定の期間の終値を単純に平均した数字で作られている移動平均線です。

指数平滑移動平均線・・・EMA(Exponential Moving Average)

指数平滑移動平均線は、「直近の値の方が重要である」という考えから、直近の値に加重を加えて計算しています。
直近の値に2倍の加重をかけて平均することで、直近の値に敏感に反応します。つまり、単純移動平均線(SMA)に比べると、直近の値の影響を大きく受けます。

加重移動平均線・・・WMA(Weighted Moving Average)

加重移動平均線は指数平滑移動平均線と同様に、新しい値に加重をかけて平均計算します。
平均する期間の初日を1とすると、2本目は2倍、3本目は3倍として、最後はN倍の加重をかけ、平均します。単純移動平均線よりも、直近の価格に重点を置いた分析をできるようにしています。

 

4.見方

 

移動平均線の見方は、以下の2つが基本です。
・ローソク足との位置関係
・移動平均線の傾き
移動平均線の見方

• ローソク足が移動平均線より“上”にあるときは“上昇トレンド”
• ローソク足が移動平均線より“下”にあるときは“下降トレンド”
• ローソク足と移動平均線が重なっているときは“レンジ”

という風に見ます。
移動平均線とローソク足との位置関係を確認したら、次に移動平均線の傾きにも注目しましょう。単純に以下のように覚えておいてください。

• 移動平均線が、右肩上がりで角度が急であるほど上昇トレンドの力が強い
• 移動平均線が、右肩下がりで角度が急であるほど下降トレンドの力が強い
• 移動平均線が、水平であるならレンジ

という風に見ます。

 

5.シグナル

移動平均線を使った具体的なエントリー方法を紹介します。

5-1.グランビルの法則

移動平均線を使って、具体的なエントリーとエグジットのタイミングを判断する手法として、グランビルの法則が知られています。ここでは、このグランビルの法則について、詳しく説明していきます。

グランビルの法則とは

アメリカの投資分析化であるジョセフ・E・グランビルが考案したチャート分析法です。
グランビルの法則では、買いと売りでそれぞれ4つの合計8つの売買法則が示されています。
主に注目している点としては、「移動平均線と価格の乖離」、「移動平均線と価格のクロス」、「移動平均線の傾き」です。

 

4つの買い法則

買い法則①
水平か上向きに転じた移動平均線を現在値が上抜けたとき
移動平均線が水平で推移するということは、下降トレンドであったが下げられなくなっている状況を示しています。いったんの底である可能性が高く、底からの上昇を狙う状況です。
グランビルの買い法則

買い法則②
上向きの移動平均線を現在値が一時的にした抜けたとき
上昇トレンドの押し目買いの局面です。下へ行くと見せかけて再上昇するパターンです。
グランビルの買い法則

 

買い法則③
上向きの移動平均線近くまで現在値が下落した時
上昇トレンドで深い押しを作らず上昇している場面です。
グランビルの買い法則

買い法則④
下向きの移動平均線から現在値が大きく離れたとき
下落スピードに移動平均線が追いついていない状況を示しています。これは、売られすぎの状態からの自立反発を狙うものです。
グランビルの買い法則

 

4つの売り法則

売り法則①
水平か下向きに転じた移動平均線を現在値が下抜けたとき
移動平均線が水平で推移するということは、上昇トレンドであった相場が上げられなくなっている状況を示しています。いったんの天井である可能性が高く、天井からの下落を狙うと状況です。
グランビルの売り法則

売り法則②
下向きの移動平均線を現在値が一時的に上抜けしたとき
下降トレンドの戻り売りの局面です。上へ行くと見せかけて再下降するパターンです。
グランビルの売り法則

売り法則③
下向きの移動平均線近くまで現在値が上昇した時
下降トレンドで、深い戻しを作らず下落している場面です。
グランビルの売り法則
売り法則④
上向きの移動平均線から現在値が大きく離れたとき
上昇スピードに移動平均線が追いついていない状況を示しています。これは、買われすぎの状態からの自律反発を狙うものです。
グランビルの売り法則

 

5-2.ゴールデンクロスとデッドクロス

長短2本の移動平均線を引いてエントリーのタイミングを計ります。
ゴールデンクロス・・・短い移動平均線が長い移動平均線を「下」から「上」に突き抜けた時に買い、もしくは売りの決済
デッドクロス・・・短い移動平均線が長い移動平均線を「上」から「下」に突き抜けた時に売り、もしくは買いの決済

画像の赤は20日、青は70日移動平均線です。

問題点
トレンドが発生している局面では有効なのですが、レンジの中ではダマシが頻繁に発生します。
移動平均線は価格とほとんど同じ状態で上がったり下がったりといった動きをするため、ゴールデンクロスをしたと思ったら、デッドクロスをして、またすぐにゴールデンクロスするといったような状況が続きます。
このようなことから、ゴールデンクロスとデッドクロスは相場がレンジになっている時には使うことが出来ません。
ゴールデンクロスとデッドクロス

使用するときの条件
トレンドかレンジかを見極めなければいけません。
そのため、他のテクニカル指標と組み合わせてみたり、サインが出た後で様子を見て注文を出すなど、タイミングをずらして様子を見ながら取引をするのが良いです。

 

6.まとめ

移動平均線からは数多くのトレードの情報が得られます。
トレンドの状況を把握するのにも、エントリーやエグジットのタイミングを計るのにも使える万能なインジケーターです。上手く使えば、トレードする上で大変重要なツールになるはずです。
移動平均線を使った手法も数多く存在するので、ここで基本をマスターしましょう。

About タク

○FX歴2年 ○短期間で高度なテクニカル分析を習得 ○わかりやすい解説を心がける

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