使いこなせば便利!移動平均乖離率
今回は、移動平均乖離率(かいりりつ)のご紹介です。
乖離率なんて難しい言葉が使われておりますが、要は、移動平均線とローソク足の終値が、どのくらい離れているか、ということを知るためのツールです。
オシレーター系テクニカル指標として、以前「ADX」を解説しました。
ADXは、14本分のローソク足を参考に数値化されています。
そのため指標の反応速度は、緩やかなものとなります。
敏感な反応は使い方次第
一方、今回ご紹介する移動平均乖離率は、ローソク足が確定する都度、移動平均線とどのくらい離れているのかを知る指標です。
つまりローソク足1本ごとに、指標の数値が確定されることなるため、ADXに比べ反応は敏感になるのです。
ここで、気をつけていただきたい点がございます。
ADXは反応が緩やかで、移動平均乖離率は反応が敏感と書きました。
が、これは「ADX」が悪く、「移動平均乖離率」が良い、ということではありません。
テクニカル指標は、ご自身のトレードの性格に応じて使い分けていくべきものです。
そのため、実践で採用する前に、バックテスト等を用いて想定される結果を確認が必要になります。
つまり、皆さん一人一人のトレーディングプランに、よりマッチしているオシレーターを採用するべき、ということです。
私も時間を見つけては、色々な方のトレードに関する記事を拝見しております。
オシレーター系のツールについて理解が深く、とても参考になるなあと感じる記事もあるのですが、どちらかと言うとその使い方で大丈夫かな?という内容が多く、残念に思うことの方が多いというのが現状です。
ツールを正しく理解し活用することは、トレーディングプランを作る上で土台となるものです。
これを読んでいただいている皆様には、是非とも正しく深く理解をしていただきたいと思います。
前置きが強烈に長くなってしまい、申し訳ございません。
いよいよ本題です。
目視で分かりますか?
ここで、図①ドル円1時間足のチャートをご覧ください。
今回のチャートは、移動平均乖離率の解説のために、ローソク足と75本移動平均線(MA75)のみを表示させております。
チャートは、序盤1ドル109円をはさんで揉み合うレンジの状態から、中盤に円高方向へのトレンドが発生し、ローソク足が次第にMA75に近づいてゆきます。
そして終盤では、再びレンジ相場へと移行しています。
さて、図①に(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)とオレンジの矢印を書いてみました。
それぞれの矢印の長さは、「移動平均線」と「ローソク足の終値」との距離です。
今回のチャートでは、109円より円高部分の目盛線を消してあります。
目測で構いませんので、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のうちどの矢印が長く、どの矢印が短いか予想してみてください。
次回、この矢印の長さと移動平均乖離率とを用いたトレーディング手法の解説をさせていただきます。